天山を越えて

著者:胡桃沢 耕史 発行所:光文社

天山山脈は、アジアを東西に二分する大山脈。
長さが約2000キロメートルもある。2000キロだと
博多から海上を一直線に通り函館まであります。
この山脈の北側と南側にシルクロードが通っていた。

この天山を舞台にした冒険小説です。
奇想天外というか、今までにないストーリーであり、
ウソばかりと思いながらも実におもしろい小説でありました。
初めて読む著者であり、このアジアの辺境を舞台にできる取材力と
いうか想像力は凄いと思い、簡単に略歴を紹介します。
1925年(大正14年)生まれ、拓殖大卒業後、特務機関員として
中国に渡り、終戦を迎える。
抑留(モンゴルともシベリアとも書かれている)されのちに復員。
NHKディレクターの傍ら小説を書き、独立して小説家になるも
1967年に版権を売却して東南アジア、アメリカをバイクで放浪。
帰国後4度目のノミネート作「黒パン俘虜記」で第89回直木賞を
受賞。1994年68歳で死去されてます。

仕立職人・衛藤は、招集により満州に赴任。
森大将は、東干民族の若き将軍に
日本人妻をめとわし中国を背面から脅かす作戦を立てる。
19歳の由利は、はるか彼方の烏魯木斉
まで駱駝に乗り嫁入りすることになる。
衛藤上等兵はその同行を命じられる。
灼熱の砂漠、険しい雪山のシルクロードを花嫁と進む衛藤。
その後、由利や衛藤は数奇な運命をたどることになる。

☆☆☆☆☆

第36回日本推理作家協会賞長編部門受賞作

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