コンチキ号漂流記

作者:ハイエンダール 訳者:神宮 輝夫 発行所:偕成社

コンチキ号漂流記は、70ヵ国以上で翻訳され、2000万部以上を売り上げた。大ベストセラーとなり、「二十世紀の名著」と言われております。

ノルウェーの人物学者トール・ハイエンダールは、ポリネシアを含む南太平洋の島々で、南アメリカの文明と共通するたくさんの事実に気がついた。そこで、大昔にスペインに滅ぼされたインカ帝国から筏に乗り、はるかポリネシアへ渡ったという学説を立てた。しかし、まわりからはまったく信用されなかった。そこで、実際に昔の筏を再生して自分で渡って実証してみせる航海へ挑戦した。

アンデスの山中に入り12本の大木のバルサ(丸太)を確保した。1本1トンほどもある樹液の詰まった大木である。そのバルサをリアナというつる植物でしばりあげる。9本の丸太の上に、細目の丸太を1m間隔で横に並べてしばり、割った竹を並べて甲板(かんぱん)を作り、竹で編んで壁を作り竹をうすく裂いたものとバナナの葉で屋根を作り、筏の上に小屋を建てた。固いマングローブを小屋の前の左右に立て、てっぺんで交差させてマストを作った。太陽神の名をとり「コンチキ号」と命名された。1947年4月28日ペルーのカヤオ港を出航した。マグロやシイラに追われたトビウオが甲板の上をはね上がり貴重な食料になったり、直径1mもあるヤリイカの光る緑の目ににらまれたり、15メートル以上もあり筏からはみ出すほどの巨大ジンベイザメに驚かされたり、サメの集団に囲まれたりと、読者を楽しませてくれる。大波により甲板に海水が溜まっても、次の波に持ち上げられる時には、丸太のすき間から流れ落ち、まさしく波と同調する様になり、大波・大風・大雨にもコンチキ号はしぶとく戦った。ほぼ三カ月後の7月2日に、ポリネシアの一角ツアモツ諸島に6人全員無事にたどり着き、航海の目的は果たされた。☆☆☆☆☆

        

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