著者:生島 治郎 発行所:光文社
物語は1920年代、日本では大正時代です。
中国は戦乱で大いに荒れていた時代でした。
各地の軍閥が列強と結びついて抗争を繰り返し、中国国民党と
中国共産党は、軍閥を一掃するために手を結ぶ。
しかし、蒋介石のクーデターで、英米支援の国民党、ソ連支援の共産党、
そして日本軍の3すくみ状況の真っただ中となる。
そういった思想以外にも様々な土匪が活発な略奪行為を繰り返していた。
そんな中国上海に渡って15年の紅真吾は、事業に失敗して破産。
その折、日本の大手商社の上海支店長からある提案がなされる。
揚子江を重慶まで遡り、豚毛を買い集めて日本に送る計画であった。
うまくいけば一攫千金の話であった。
しかし、内地へ行けば行くほど治安の悪い中国で、生きて帰れる保証は
かなり低い確率でもあった。
紅は、新聞広告で集めた猛者らと1700キロに及ぶ危険な重慶へと船で向かった。
上海生まれで、少年期を中国で過ごした著者ならではの緻密な描写でありました。☆☆☆☆