無人島に生きる十六人

著者:須川 邦彦 発行所:新潮社

明治31年、帆船・龍睡丸は太平洋上で座礁した。
乗組員16人は、珊瑚礁の小さな島に漂着した。
全員の気持ちを一つにまとめ上げ、何もない無人島でも
規律正しく生活させた中川船長。
著者が、商船学校の実習生の時、中川元船長が教官であり、
著者が何度も無人島の話を中川教官に頼み、
詳しく話を聞き、書き上げた実話本である。
小さい小さい無人島にたどり着いた16人。四つのきまりを
中川船長は皆に言い渡した。

一つ 島で手に入るもので、くらして行く。
二つ できない相談はいわないこと。
三つ 規律正しい生活をすること。
四つ 愉快な生活を心がけること。

海抜4mの低い島で、8日間かけて4mの砂の山を築く。
大量の流木があった翌日には、その砂山に4.5mの見張り櫓を組み立てる。
これで海抜12,5mの立派な櫓ができ、半径7海里半(1海里1852m)
の水平線を見張れることになった。
火種の灯明を作り、井戸を掘ったり、海鳥の羽をペンに、またインキを
作ったりもした。また二名の練習生も乗っていたので、その授業も
経験者たちが入れ替わり教官となった。
また貴重な食材の正覚坊(アオウミガメ)の足を紐でしばり、亀牧場
を二つも作ってしまった。
まさに明治の日本男児の船乗りここにありである。
見張り台から見つけた船は、なんと日本の的矢丸。長谷川船長も
友人という奇跡的な生還を果たし、翌年、明治32年12月23日に駿河湾
の女良港に入港した。☆☆☆☆☆

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