韓非子

訳者:西野 広祥 市川 宏 発行所:徳間書店

1964年に第一版が出された古い本である。
私も30年以上前に読み、何度か読みなおしている私のバイブルと言える本です。

日本が弥生時代の頃、中国は、春秋戦国時代であった。
統合力を失った周の王権は、まったくの無力となっていた。
春秋時代が300年、戦国時代が200年、約500年を春秋戦国時代と呼ぶ。
春秋時代には、百数十あった国々が、戦国時代には、七強国を数えるのみ
になっていた。
韓、魏、斉、趙、燕、楚、秦の七強国を戦国の七雄と呼ぶ。
韓非(かんぴ)は、その七国の中で、最も国土の狭い韓王安(あん)を父とし
て生まれた。しかし、母親の身分が、低かったため王族の一員ではあるが、
それほど恵まれた位置にいたとはいえない。
韓の西に広大な領土を持って、中国統一の大本命と目された秦の前に風前の灯
である状況で生まれたのが、韓の韓非であった。
当時の代表的学者の荀子(じゅんし)のもとには各国から遊学生が集まっていた。
荀子の弟子には、のちに秦の宰相となる李斯(りし)もいた。その李斯でさえ
韓非の才能には一目置いていた。
その韓非の書物を読んだ政が、これこそ自分の求めてきたものであると言って
感嘆の声をあげた。
この秦の政が、のちに中国統一する秦の始皇帝である。
韓非に会うために韓を攻めた秦、すかさず韓は和を乞うて韓非を使者に遣わした。
しかし、韓非が登用されれば、自分の地位が危うくなると李斯は、毒をもって
韓非を殺してしまう。しかし、韓非の残した五十五編にのぼる書物は、中国統一
を果たす秦のバイブルとなるのであった。その書物を「韓非子」という。
韓非が死んで三年、韓は秦に滅ぼされ、10年のちに秦は中国統一を果たす。
全国を36の郡にわけ、その下に県を置き、皇帝の直接任命の官史が派遣された。
度量衡(長さ、重さや容積など)が統一された。貨幣も、文字も、そして思想も
統一された。
秦は15年で滅びるが、中国に国家的統一をもたらした功績は、永久に不滅である。

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